保険診療とは壮大な公的ポイ活であるという話

保険診療では、国の定めた点数表に従って、報酬を得ることが出来ます。点数表は国が主導権を持ち、医師会との攻防(の演出)の結果として定められ、個人の努力では一切弄ることが出来ません。つまり、もし国が「明日からこれは0円(0点)ね」と言えば、医師・病院の収入は0になります。医師・病院は、診療点数においてかなり弱い立場にあるわけです。

※攻防(の演出)とは

医師会は国の診療報酬改定に一定の影響力を持ちますが、そんなことははじめから分かっているので、お互いの落とし所を見つける作業になります。基本的に国≧医師会のパワーバランスのため、長い目で見ると国に有利になることは間違い有りません。そんな中でも、「お互いこのくらい妥協した、仕事をした」という演出をしつつ点数表が改定されていくものです。

ではここで、点数表はどんな項目を高くして、どんな項目を低くするように定められるのか。という疑問が湧いてきます。

これは、国がやって欲しい項目が高く、多くの医師が既にやるようになった項目が低くなっています。特に、特に普及させたい診療については、優遇と思われるような点数がつくことがあります。一方で、それを利用して利益がバンバン出ている項目は遅かれ早かれ必ず点数が削られます。

つまり、点数表を弄る目的は、技術の普及、普及が済んだら医療費の削減の2つと考えられます。

これは民間のやっている〇〇ポイントやクレジットカードの還元率と全く同じです。こいつらも、はじめは集客のために高い還元率を打ち出しますが、普及が進むと年々改悪されていくのが常であります。

こちらも、ポイントサービスの普及、普及が済んだらポイントの削減、という構図になります。

我々市民は、高還元なポイントを探し、その使い方を試行錯誤して利益を最大化しようとするポイント活動:ポイ活をします。しかし、時として企業側の一方的に定めるポイントサービスの変動に愚弄される、とても弱い立場にあります。

これは、保険診療も全く同じですね。

つまり、保険診療は国主導のポイ活と呼ぶことができます。

医師は、点数表(ポイント還元表)とにらめっこして、取れる部分をしっかり取ろうとするでしょうし、それがルールを守る正当な姿勢とも言えると思います。

ただ、異なる点があります。それは、民間のポイントサービスと異なり、運営者が国であることと、ポイントの対価として医師側が提供するのが医療という公益性の高いサービスであることです。

ポイ活が、いくら運営者側が強い立場だからといって、医療サービスを崩壊させるような改訂を起こすことはないでしょう。

つまり、普通のポイ活よりはだいぶ安定的なポイ活と呼ぶことができるでしょう。

しかし、国力がすでに衰えている日本では、将来的に今よりもずっと厳しい改訂を迫ってくると思われます。昔はあんなに点数が稼げてよかったなあと思える未来が必ず来るはずです。

最悪の場合、医療は保険診療から一切儲けを出せないようなプランになるかもしれません。

将来の予測は悲観的なストーリーも意識しておく必要があると思います。