感度と特異度が簡単にイメージできるようになる話

感度・特異度って、結局どっちがどうなんだっけ?というのが非常に紛らわしいですよね。

「感度が高いと...?陽性的中率が...?で、陰性の場合はどうなの...?あれ...?」

とよくなります。

それを簡単にイメージできる方法を思いついたので記しておきます。

「感度が高い」のイメージ

感度の高い検査として、「病棟のモニター心電図」をイメージするといいと思います。

病棟の心電図って、「ひっきりなしに鳴るけど、みんな対して気にして無くて看護師さんが適当に止める」って感じですよね。

感度の高い検査のイメージは、「しょっちゅう陽性になってて、なってなければまず安心」という感じです。

陽性→よくあることだよね、ホントにやばいのもたまにあるけど

陰性→心臓に関しては、ほぼ間違いなくヤバくない

つまり、感度の高い検査の使い方は「陰性を見て安心したい」って感じでしょうか。

※心電図の「ラーファーラーファー」の方です。「レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭!」の方は割りとみんな気にしますから。笑

「特異度の高い」のイメージ

特異度の高い検査のイメージは、「なかなか陽性になんてならないから、陽性ならヤバい」という感じです。

上級医の先生に「先生、これヤバイよ」って言われたとき、それは特異度の高い助言です。

陽性→ヤバいよヤバイよ

陰性→安心はできひん

つまり、特異度の高い検査の使い方は「これやっぱヤバいよね!CT撮りたいです!」「陽性じゃんあぶねえ、やっといてよかった」って感じでしょうか。

検査ごとの感度特異度のイメージ

次は、どんな検査が感度が高くなりやすいか、特異度が高くなりやすいか、の見分け方です。各検査の大体のイメージを掴めば、それは自ずとわかってきます。

「これ、すぐ引っかかっちゃうでしょ...」な検査は、感度が高いです。

「そんな簡単には陽性にならないし、陽性だったら絶対ヤバいでしょ...」な検査は、特異度が高いです。

ここでは髄膜炎を例に取ります。

頭が痛くて吐いてます、という患者さんに対して、

①「ぜったい引っかかるでしょ...」という検査は、頸を左右に振ってもらう「jolt accentuation」があります。

髄膜炎がもしあったら、痛くて頸振ってる場合じゃなさそうですよね?

もし陰性だったら、髄膜炎ぽくないですよね?

じゃあ、眼の前の患者さんがブンブン振っているなら大丈夫そう=陰性なら安心、ですよね。

※jolt accentuationは別に感度が高くないという話もあるそうです。ヤレヤレ

 

②「これそんな簡単にはならないし陽性だったらヤバいでしょ」という検査は、

足上げ腹筋のポーズから膝が進展できないKernig徴候や、仰向けで頸を前に起こすと膝が勝手に曲がるブルジンスキー徴候があります。

こんなよくわからん身体所見、絶対簡単には起きないでしょ、と思いませんか。

もし陽性だったらそれはもう髄膜炎ぽいですよね?

じゃあ、眼の前の患者さんがよくわからん身体所見陽性になっててヤバそう!=陽性ならヤバい!、ですよね。

では、重大な疾患のスクリーニングに適しているのはどんな検査か?

もちろん感度特異度の両方が高い検査が良いのですが、それがない場合です。

スクリーニングの目的は「ヤバいかもしれない人を見つけて、詳しい検査にもっていく」です。この観点から行くと、かもしれない運転を心がける意味から、すぐにピコピコ鳴ってくれる検査が安心できそうです。つまり、「モニター心電図」的な、感度の高い検査がオススメになってくるわけです。

 

以上、感度と特異度が簡単にイメージできるようになる話、でした。

 

 

医師国家試験の模試はどれを何回がいいかの話

医師国家試験に向けて模試は重要です。国試本番の前に、自分が本当に国家試験レベルの問題を解くことができるか知っておく必要があり、また、それにより自身の学習を修正できるからです。

模試は何回受ければいいのか

模試をある程度のクオリティで出している会社は3つあります。MEC, TECOM, MedicMediaです。また、各会社で一年に3回-4回程度の模試があり、たくさん模試があることがわかります。

不安になると、たくさん模試を受けるのが良いように思ってしまいますが、模試をたくさん受ける必要はありません。模試を受ける目的は、「自身の学習方針の正しさや、このまま行くと合格できそうかどうか」を判断するためであり、それは各時期に1つ受ければだいたい判断できるからです。また、お金のこと(後述)もあります。

心配症な方は、模試と同じ問題が複数出て、そこで合否が決まると考えてしまいそうですが、それが現実化する可能性は限りなく低いし、そもそもそのような状況に陥らないように勉強しなければいけません。

ここから、受験回数のオススメは2-3回です。

夏と冬または直前期に1回ずつ受験するのは、必要条件かと思います。夏に方向性と距離感を掴み、直前期に確認するという感じです。

それにプラスして1回くらい受けておくと安心できるのではないでしょうか。

それぞれの会社の模試の内容は?

各社の模試を比較していきます。問題の質は、各社のサービスやCBT模試を利用した私個人の感想です。

・MEC

春・夏・冬の3回で、早期申込みで3つ合わせて19,800円、単体での申込みもおそらく可能で、春が4,400円、夏と冬が回9,900円。冬の回は模試として最も受験者数が多いようだ。

CBT模試は、難易度が本番よりやや低いが割りと妥当な出題だったと思う。

どの分野でも解説する講師の圧が強く、それが好みでない。

・TECOM

春夏冬直前の4回、各回10,000円前後。だんだんと難易度を上げる模様。CBTの模試は、常識で解けてしまう出題が多く、あまり妥当とはいえなかった。この会社は、出題目的が謎なことがよくある。

・MedicMedia

QuestionBankの会社。夏・冬・直前の3回で、早期申込で3つ合わせて16,500円と抑えめだが、単体では各回16,500円とかなり強気な値段設定。模試がスタートして歴史が浅く、早期申込で囲い込む戦略と思われる。

難易度は各回ともに国試本番レベルに合わせて作っているが、スタート初年度の模試は異常に難易度が高く使い物にならなかったらしい笑

CBT模試は難易度がやや高かったが、妥当な出題を感じ、勉強になった。本番と同じ程度の成績だった。Qassistの動画はテンポよく、理解しやすいと思う。

どれがおすすめか

私は、国試レベルを強く意識していることと、CBT模試等での問題の質の高さから、MedicMediaの模試を使います。受験回数もちょうど良いと思います。

ただしこれは好みですので、MECでも全然いいと思います。

TECOMは高いし個人的にあまり好きではないのでオススメはしません笑

また、複数の会社を組み合わせると、どうしても値段が高くなります。どうしても他の会社のが解きたかったら、友達に問題を見せてもらえば良いのではないでしょうか笑

 

 

医学部の地域枠は益々厳しくなっていくという話

地域枠とは何か?

地域枠がうまれた背景として、医療の問題点のである医師の地域偏在問題があります。

医師免許を得た人達のうち少なくない人が、都会で働くことを希望します。理由は様々ですが、都会に行ってみたい・戻りたいという感情が一番でしょうね。

田舎の県では、卒業生100人のうち40-50人しか臨床研修を出身県内でしか行わないところもあります。そうすると、地方の医療は人材不足となるわけです。

これを解消しようと生まれたのが地域枠制度です。

卒後の何年かを①出身県内の病院で働くこと、また場合によっては②人不足の診療科(小児科・産婦・救急・へき地)で働く契約で入学します。その上で、月10-20万円(~私立ではさらに学費一部免除など)の奨学金(契約を守れば返還不要)がもらえることが多いです。

地域枠はなぜ拡大していくのか

医師の偏在は全く解決していません。このままでは、ネットの発達で、都会での研修に憧れる学生は増加してさらに進んでいくと考えられます。そのため、縛りのない学生はどんどん都会へ流出していきます。

それに対抗するために地域枠が拡大していきます。また、制度変更というのは、始めるのは難しいですが、始まるとその範囲を拡げるのは比較的カンタンですから、これまで以上に地域枠拡大は加速していきます。

さらに、地域枠の「拡大」、には枠の定員が増加していくこと、以外にも①契約を違反しづらくすること②満たすべき要件が拡大すること、が含まれてきます。

いずれも現に始まっています。

例えば①は、奨学金返還はもちろんですが、地域枠離脱者を採用した病院には補助金減額(つまり契約違反者を県外の病院が雇う理由がなくなる)、離脱者は専門医取得不能(専門医の無い場合、雇う側も不安に思うため就職先が限られる)、②は診療科選択肢を限られる、です。

このようにして地域枠の人数は増加、そして契約内容は厳しくなっていく、そんな感じです。

※ここまで書いてみると、田舎の県は私立医大の地域枠を増やす手法に走るのが得策に思えてきました。県は、私立医大の学費を肩代わりしてやる必要がありますが、学生は契約違反をした際に還すべき奨学金が膨大になり、県に定着しやすくなります。私立医大も、県が学費を払ってくれますし、その県での影響力を増やすきっかけになります。そして、なんと学生も、都会で憧れの大学生活を送ることができるということで、win-win-win(あれ?)ですね。でも、国立も違約金1000万円とかで契約させれば同じになりますね。

地域枠の今後は?

将来的には、田舎の医学部では過半数が、診療科選択の縛りがあり、かつ、制度的に脱出のしづらい地域枠となり、その枠の人材が地域医療を支えることになるでしょう。

臨床研修の自由化ってだれがやってくれたんでしょうか?昔はガチで自大学研修しか正規ルートがなかったそうですね。学生にしかメリットが無いのに自由化してくれた人には感謝しかありません。

 

人名を疾患名にしてはいけないという話

私立人名を疾患名にするな高校校歌

 

たとえ疾患の発見者が偉大でも~

人名を疾患名にしてはいけない~

 

人名を覚えても何も得られない~

それよりも病態で名前をつけろ~

 

後世の人が学ぶ時困るやろ~

同名の人嫌な気持ちなるやろし~

 

嗚呼、我らが~ 

人名を疾患名にするな高校~

 

医師国家試験もCBTも、予備校動画はいらないという話

医師国家試験もCBTも、予備校動画は必要ありません。多くの人は予備校動画をとりあえず購入しますが。

でも、本当に勉強に必要なのは参考書の「病気がみえる」(マイナー科は「レビューブック」)と、問題集の「QusetionBank」だけです。

QAssistやmedu4などの講義動画は、①動画を見るのに時間がかかる、②受け身になるので頭に入りづらい、③数万円~十万円程度かかる、というデメリットがあり、受講する必要はありません。

講義動画をダラダラ視聴するなら、同じ時間で参考書を「手早く」読み、自力で問題集を解くほうが、早い・頭に残りやすい・安い、です。

ここで、「手早く」読む、というのがポイントです。病気がみえるは分厚いため、はじめから全部を読もうなんて考えてはいけませんw

(大学受験で青チャートを初めからやって挫折する人と同じですw)

読む部分を大事な部分だけに絞り、何回も学習する必要があります。

おすすめは、「総論」のページはしっかり読み、疾患の各論は「ミニマムエッセンス」のみをまず理解していくことです。

総論は、解剖や正常機能の仕組みが書いてある部分で、ここをしっかり理解しておくことで、各部位の異常として各疾患を簡単に理解することができるようになります。逆に理解が甘いと、疾患が頭に入ってきません。

疾患の各論は、大事な部分だけをまず理解して記憶すれば十分、問題は解けます。それが病みえの各論のはじめのページ:「ミニマムエッセンス」にほぼ集約されています。

 

以上、「医師国家試験もCBTも、予備校動画はいらない」、「参考書と問題集を買って自分でやる方が早い・覚えやすい・安い」という話でした。

スイッチOTC医薬品を活用して、お金と時間を節約する方法

若くて健康な人が医療費を節約し、さらに時間も有効活用できる方法を書き留めます。

それは、「病院へ行かずにスイッチOTC医薬品を活用すること」です。

スイッチOTC医薬品とは、病院を受診してもらう薬のうち安全性の高いものを、ドラッグストアで購入できるようにしたものです。

私はここ3年以上病院へかかっていません。行く必要が全く無いと判断したためです。

しかし、私は風邪をひかないわけではないし、割りと重めの花粉症・ハウスダストアレルギーがあります。しかし、この程度で病院には行く必要はありません。

現在では、一般的な風邪やアレルギー程度に対応するための薬は、病院(薬局)でもらうのと同等のものが、街のドラッグストアで購入可能です。

例1 風邪(やインフルエンザ)

病院へ行く場合は、長いこと待たされて病院へかかり、支払いをして、さらに薬局でも待たされて支払いをする。もらえる薬は①解熱鎮痛薬②去痰薬③トランサミンなどの抗炎症薬④インフルエンザの場合はタミフルリレンザ、です。

①はドラッグストアで普通に買えます。アセトアミノフェンロキソニンです。

②③は飲んでも飲まなくても病気が早く治ることはありませんし、対して効きません。

④インフルエンザの薬は、解熱を1日早めるか早めないか程度ですので、もらう必要性をあまり感じません。

風邪で身体がしんどいときに長いこと待たされて薬をもらうより、ドラッグストアで①を購入しておいて体調の悪い時に備えておくのが賢い選択です。私には合いませんでしたが、風邪の引き始めに漢方薬「葛根湯」は一般的によく効くようです。これもドラッグストアで買えます。

例2 花粉症

病院へ行く場合は、長いこと待たされて病院へかかり、支払いをして、さらに薬局でも待たされて支払いをする。もらえる薬は①抗ヒスタミン薬(錠剤)②点鼻ステロイド薬③抗アレルギー作用のある点眼薬、程度です。

どれもドラッグストアで買えます。①は実は効果が高くないことがわかっていますから、②③を購入して備えるのがよいと思います。

以上により、OTC医薬品を活用すれば、本当に必要な薬をゲットすることができて、時間が節約でき、備えておけば体調の悪い時に動かなくて良いメリットがあることがわかります。

お金に関しては、OTC医薬品は、たしかに薬剤料(薬局でもらう薬そのものの値段)よりは高いです。しかし、病院へかかった場合は薬剤料以外に初診料・検査料・薬学管理料・調剤費その他もろもろがかかるため、全体としてドラッグストアの医薬品を購入したほうが安くなります。(というか、OTC医薬品を販売する製薬会社が病院でもらうよりは安くなるように値段を設定しているのだと思います)

 

最後に注意点があります。かなり高齢の方・基礎疾患のある方などはインフルエンザが命取りになることもありえますので、病院へ行くことをおすすめします。また、この記事の通りに私は実行していますが、読んでいる方が何らかの不利益を被っても私は責任をとれません。自己判断でお願い致します。

学歴ロンダリングは結局は悲しいものだ、という話

この記事における学歴ロンダリングの定義は、

大学のレベルよりハイレベルな大学院へと進学すること。それによって、出身大学では得られない恩恵を、出身大学院のネームバリューで得ようとすること。

ここで言うレベル、とは、一般的な社会人の間で合意形成されてるものを指します。例えば、東大は他の大学よりもハイレベルなのは一般的でしょう。地方の大学より、旧帝大早慶のほうがハイレベルなのも一般的でしょう。

学歴ロンダリングを行うことは、咎められることではありません。むしろ、自身の将来展望を広げるために必要なことでしょう。

 

しかし、問題は出身大学を隠す人がいることです。これは卑怯です。

例 「私はA大学卒業です(本当はAは大学院で、出身はそこよりも劣るB大学)」

この例では、出身大学よりネームバリューのある〇〇大学を前面に出すことで、自身の他社からの評価を高めようとしています。

直すなら、「私は院がAでした」

ただこう言えば良いだけです。

 

大学入試よりも簡単な試験により、上位大学出身の顔をしている。

しかし、このことに一番気づいているのは本人でしょうね。引け目を感じない人はいないと思います。

それを一生気にする訳ですから、悲しいものでしょう。

大学受験の時、もっと頑張っておけばなあ、という感想を捨てられないと思います。